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日本有病者歯科医療学会
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巻頭言

日本有病者歯科医療学会
理事長 白川正順

本学会は,平成23年3月に開催される第20回学術大会・総会(東京歯科大学山根源之教授, 主管)の開催から,一般社団法人日本有病者歯科医療学会として,新たな出発をいたします.また,設立から20年の節目を迎える記念すべき学術大会・総会でもあります.

 この期を迎えて,理事長として一言ご挨拶を申し上げるとともに,このような機会でもありますので今期推進した事業内容に加えて,本学会の設立当初のことについても,想起してみたいと思います.

 「21世紀を境にして,超高齢者時代の到来と同時に,有病者人口が急増する.これに伴い今後より一層,全人的治療が歯科医療の基盤となる」,こう先見して平成3年4月27日,初代理事長故園山昇先生(日本歯科大学名誉教授),前理事長内田安信先生(東京医科大学名誉教授),光安一夫先生(現監事),瀬戸皖一先生(鶴見大学名誉教授),古屋英毅先生(日本歯科大学名誉教授),寳田 博先生(前三井記念病院歯科口腔外科部長)等が中核となり,小生も末席をいただき設立準備を進めておりました.ところが近畿にはすでに,大阪有病者歯科医療懇話会(会長:岡野博郎大阪歯科大学名誉教授)が存在したため,パイプ役として田中義弘先生(前神戸市立市民病院口腔外科部長:第19回総会長)にご尽力いただき,園山先生と岡野先生との協議の場を作っていただき,合併統合する形で日本有病者歯科医療学会が誕生いたしました.小生は名誉ある第1回総会長のご下命を頂き,日本歯科大学富士見ホールで第1回学術大会を開催し,参加者が600余名,100題近くの演題を頂いたのを記憶しております.すぐに「在宅歯科医療・訪問歯科診療」をテーマとする学術教育研修会を開催し,順調なスタートを切ったわけでございます.設立実行委員会の申し合わせで,本学会の構成役員は,病院歯科,歯科大学口腔外科,医科大学口腔外科,歯科麻酔科,一般臨床家,医師や歯科衛生士という構成にしたのも,本学会のテーマは多くの領域が関連するという考え方を基盤にしたからでした.園山,内田両先生は特に病院歯科の関わりがもっとも深く,病院歯科の先生が求心力を発揮するべき診療域の学会であることを強調されました.構成する会員が病院歯科(寳田 博先生・日本病院歯科口腔外科協議会初代理事長)の先生への呼びかけで圧倒的に多いのもこの点が理由であろうと推察されます.

 今世紀に入ってから,当初の予測をはるかにしのいで,全世界的に超高齢化社会が加速され,特にわが国は世界の中でも最長寿国としてランキングされるに至っています.このような時代を背景にして,今では一般歯科臨床の場においても,高齢有病者を対象とする診療が日常的に推進されるに至っており,本学会の存在意義はますます大きなものになっております.

 

 さて,今期の事業について自己評価しますと,本学会が推進しようと計画してきた 1. 診療ガイドラインの作成, 2. 法人格取得, 3. 指導医認定医制度の導入, 4. 認定医制度のための学術教育研修会の推進など4つの目標課題は,今期の間に一気に達成され,充実した会期であったと自負しています.まず,本学会の最大課題であり,学術大会において永遠のテーマである循環器疾患患者に対する歯科治療のガイドライン作成があげられます.今期はその第1弾として,すでに2004年の循環器学会のガイドラインに組み込まれた「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン」の作成に取り組みました.具体的には2008年から本学会が中心となって,(社)日本口腔外科学会(福田仁一理事長),(中)日本老年歯科学会(山根源之前理事長)との3学会連携により構造化抄録,クリニカルクエスチョンの作成などの作業を開始いたしました.その作業は実働部隊である抗血栓療法ガイドライン推進選定部会委員会(今井 裕委員長)ならびにワーキンググループ(矢郷香グループ長)の絶大なるご尽力と外部評価委員(小川聡、永松栄司、矢坂正弘各先生)のご指導によって,急ピッチで推進され,計画通り2010年10月13日,3学会連名で本ガイドラインの刊行が達成されました.

 このガイドラインを刊行するにあたって,連携2学会は本学会に比べて,組織規模が大きいので2学会と歩調をあわせる意味でも,法人格取得で少なからず体裁が整うという多数の理事から意見がございました.そんな矢先,国の政策で法人法の改正が行われ,取得条件が著しく緩和されました.法人化についてはかねてより本学会の総会の場で申請時期は理事長が適切なタイミングを図って行うという,反復,確認事項を行ってきましたので,この時期を逃す理由はなく,最良のタイミングと判断して急遽,申請に踏み切った次第です.その結果,極めて円滑に2010年10月6日一般社団法人格取得を実現させ,体裁の上で2学会に肩を並べることができました.

 ガイドラインに関する次の段階における作業は,5年後の改定に向けてプロジェクトを組むこと,実際編の編纂など時を待たずして,多角的に計画していくことなど,今後の責務が膨大に山積しております.

 3. の指導医,認定医については多数の学会で指導医,認定医制度が導入されております.本学会としても有病者,高齢者に対する安全,安心医療を推進する学会として,また会員個々の専門知識の研鑽を積みあげる必要があります.研鑽の証として,本学会でも専門・認定委員会(今井裕委員長)に十分,検討していただき,指導医,認定医制度を導入することにいたしました.指導医は制度が導入されたばかりですので,制度を整備,構築するため暫定指導医が必要になります.現在92名の理事・評議員に指導医が委嘱されました.次のステップとしては,ホームページにもご案内があるように本年4月に認定医試験が施行される予定になっておりますので,一人でも多く認定医試験を受験申込みされることを要望いたします.

 4. の学術教育研修会については,認定医制度の充実,安全歯科医療の推進を普及させる意味でも,学術大会時に併催される学術教育研修講演とは別建てで研鑽の場を活性化させる必要があります.学術研修委員会(朝波惣一郎委員長)が迅速対応で本年1月29日に,東京グランドホテル(港区芝)で「薬剤の使い方について」をテーマに研修会を企画していただきました.本学会の大きな事業の柱として,出発点に戻って,今後発展させていきたいと考えています.

 本学会誕生から20年,社会構造や時代の流れなどを見据えて,これに対応した学会のあり方を再度考察することは無論のこと,今後の展開をどこに求めるか,こう考えた時,多くの課題を抱えていることに気がつきます.ひとつづつ,慎重かつ適切に検討していかなければなりません.

 最後に会員諸氏のますますのご健闘と一層のご支援,ご鞭撻をお願い申し上げます.

copylight c2006 Japanese Society of Dentistry for Medically Compromised Patient